脳科学・認知心理学

頭の中に映像が浮かばない「アファンタジア」とは?心の目が見えない脳の仕組みとVVIQ診断

「目を閉じてリンゴを思い浮かべて」と言われても真っ暗な暗闇しか見えない?アダム・ゼーマン教授の研究によるアファンタジアの脳科学的特徴と概念的思考の強みを解説します。

2026年9月18日 8 min read 日本語

目を閉じて「赤いリンゴ」を思い浮かべてみてください。ツヤのある赤い皮、ヘタの形、お皿に落ちる影が鮮明に見えますか?それとも、まぶたの裏には真っ暗な空間が広がるだけで、「リンゴは丸くて赤い果物だ」という言語的な知識しか浮かびませんか?

もしあなたの頭の中に一切の映像が浮かばないなら、それは異常でも障害でもありません。2015年に英エクセター大学のアダム・ゼーマン(Adam Zeman)教授らによって命名された認知特性、アファンタジア(Aphantasia)です。

アダム・ゼーマン教授の知見:アファンタジアは脳の病気や欠損ではなく、多様な認知スタイルのひとつです。彼らは映像ではなく、意味データ、論理、空間関係によって世界を驚くほど高速に処理しています。

1. 脳科学で解明された「心の目」の仕組み

一般的な脳では、記憶を呼び起こす際に前頭葉から視覚野へトップダウンの信号が送られ、過去の視覚情報が再構築されます。アファンタジアの脳では、前頭葉の概念処理は通常通り作動しているものの、後頭部の視覚野へのフィードバック回路が抑制されていることが判明しています。

  • 瞳孔反射による客観的証明:豪ニューサウスウェールズ大学の実験によると、普通の人は明るい太陽を想像すると瞳孔が収縮しますが、アファンタジアの人は変化が起きません。生体反応としてイメージの非存在が科学的に証明されています。
  • トラウマのフラッシュバックへの耐性:視覚的な生々しい映像が脳内再生されないため、恐怖体験の視覚的再体験によるパニックが起きにくいという特徴があります。
  • 高度な論理的・構造的思考力:ピクサーの共同創業者エド・キャットムル氏をはじめ、多くの優れたエンジニアや科学者がアファンタジアであることを公表しており、雑音のない論理構築に長けています。
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